夢中の夢 嗚呼かく弱き人ごゝろ、 嗚呼かく強き戀の情、 朝靄の歌 もらすなよあだうつくしの花、 消ゆる汝共に散るものを、 うつくしとても幾日經ぬべき、 盛りと見しははやすたり 春駒 第一 門出 北風に窓閉されて朝夕の 伴(とも)となるもの書(ふみ)と爐火(ゐろり)、 軒下の垂氷(つらゝ)と共に心(むね)凍(こほ)り 眺め