はんしちとりものちょう 37 まつたけ
半七捕物帳 37 松茸

冒頭文

一 十月のなかばであった。京都から到来の松茸の籠(かご)をみやげに持って半七老人をたずねると、愛想のいい老人はひどく喜んでくれた。 「いや、いいところへお出でなすった、実は葉書でも上げようかと考えていたところでした。なに、別にこれという用があるわけでも無いんですが、実はあしたはわたくしの誕生日で……。こんな老爺(じい)さんになって、なにも誕生祝いをすることも無いんですが、年来の習わしで

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 時代推理小説 半七捕物帳(三)
  • 光文社時代小説文庫、光文社
  • 1986(昭和61)年5月20日