しんばし
新橋

冒頭文

私が東京に着いて一番に鋭く感じたのは新橋停車場の匂でした。門司ではバナナや鳳梨(あななす)の匂を嗅ぎながら税関の前に出るとすぐ煤烟のなかを小蒸汽に乗つて関門海峡を渡つたので都会と云ふ印象よりも殖民地といふ感が強かつた、究竟(つまり)、都会としての歴史や奥行といふものがなく出口と入口とが同一(いつしよ)になつてゐるからであらう。その他、神戸大阪京都名古屋と云ふ順序で東海道の各都会を通過しては来たもの

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 日本の名随筆 別巻95 明治
  • 作品社
  • 1999(平成11)年1月25日