しょさい
書斎

冒頭文

私は長い間、書斎らしい書斎も本箱も何も持たないことをさも自慢らしく吹聴してくらしている人間のひとりなのです。文筆生活をしていながら、未だ生まれて万年筆というものを買ったことさえないのを、さも立派な趣味ででもあるかの如く心得て暮らしている人間なのです。 昔、私が二十歳時分の頃、小学校の代用教員に雇われて月給十五円也を頂戴している頃のこと、女の先生と机を並べてカアライルの『サルタル・リサルタ

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 日本の名随筆 別巻6 書斎
  • 作品社
  • 1991(平成3)年8月25日