しゅみとしてのどくしょ
趣味としての読書

冒頭文

最近某大学の卒業論文口頭試問の席へ立(たち)会つて、英文学専攻の卒業生がそれぞれ皆立派な研究を発表してゐるのに感服した。主なる試問者は勿論その論文を精査した二三の教授諸氏であつたが、自分も傍(そば)から折々遊軍的に質問を出して見た。 「理窟は抜きにして、ディツケンスの何んなとこを面白く感じましたか、コンラツドの何んなとこに興味を覚えましたか」と訊くと、 「一向に面白くありません、少しも興味

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 日本の名随筆 別巻6 書斎
  • 作品社
  • 1991(平成3)年8月25日