れつじつ
烈日

冒頭文

急坂 私が坂を下りやうとした時、下の方から急激な怒號が起つた。 罵る叫ぶ叱咜する、呻く力を張る、そのどの聲でもあるやうに聽えた。 坂上には忽ち多くの人や車が停滯して、みな怖る怖る坂下を見おろしてゐた。 坂の下では三人の荒くれ男が、三頭の牛に、瓦斯タンクのやうに偉大な眞つ黒な蒸汽氣罐を牽かして來て、そこでこの急坂を奔け上る爲に、眞劒になつて牛を勵ましてゐる處だ

文字遣い

旧字旧仮名

初出

底本

  • 文藝戦線10月号
  • 文藝戦線社
  • 1925(大正14)年10月1日