いしたい |
| 縊死体 |
冒頭文
どこかの公園のベンチである。 眼の前には一条の噴水が、夕暮の青空高く高くあがっては落ち、あがっては落ちしている。 その噴水の音を聞きながら、私は二三枚の夕刊を拡げ散らしている。そうして、どの新聞を見ても、私が探している記事が見当らないことがわかると、私はニッタリと冷笑しながら、ゴシャゴシャに重ねて押し丸めた。 私が探している記事というのは今から一箇月ばかり前、郊外の或る空家の中で、私に
文字遣い
新字新仮名
初出
「探偵クラブ」1933(昭和8)年1月
底本
- 夢野久作全集3
- ちくま文庫、筑摩書房
- 1992(平成4)年8月24日