たび
足袋

冒頭文

「比佐(ひさ)さんも好いけれど、アスが太過ぎる……」 仙台名影町(なかげまち)の吉田屋という旅人宿兼下宿の奥二階で、そこからある学校へ通っている年の若い教師の客をつかまえて、頬辺(ほっぺた)の紅い宿の娘がそんなことを言って笑った。シとスと取違えた訛(なまり)のある仙台弁で。 この田舎娘の調戯(からかい)半分に言ったことは比佐を喫驚(びっくり)させた。彼は自分の足に気がついた……堅く

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 旧主人・芽生
  • 新潮文庫、新潮社
  • 1969(昭和44)年2月15日