かがくとぶんがく
科学と文学

冒頭文

緒言 子供の時分に、学校の読本以外に最初に家庭で授けられ、読むことを許されたものは、いわゆる「軍記」ものであった。すなわち、「真田三代記(さなださんだいき)」、「漢楚軍談(かんそぐんだん)」、「三国志(さんごくし)」といったような人間味の希薄なものを読みふけったのであった。それから「西遊記(さいゆうき)」、「椿説弓張月(ちんせつゆみはりづき)」、「南総里見八犬伝(なんそうさとみはっけ

文字遣い

新字新仮名

初出

「世界文学講座」1933(昭和8)年9月

底本

  • 寺田寅彦随筆集 第四巻
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1948(昭和23)年5月15日、1963(昭和38)年5月16日第20刷改版