一 風に靡(なび)いたマツチの炎(ほのほ)ほど無気味(ぶきみ)にも美しい青いろはない。 二 如何(いか)に都会を愛するか?——過去の多い女を愛するやうに。 三 雪の降つた公園の枯芝(かれしば)は何よりも砂糖漬にそつくりである。 四 僕に中世紀を思ひ出させるのは厳(いか)めしい赤煉瓦(あかれんぐわ)の監獄である。若し看守(かんしゆ)さ