とかいで
都会で

冒頭文

一 風に靡(なび)いたマツチの炎(ほのほ)ほど無気味(ぶきみ)にも美しい青いろはない。     二 如何(いか)に都会を愛するか?——過去の多い女を愛するやうに。     三 雪の降つた公園の枯芝(かれしば)は何よりも砂糖漬にそつくりである。     四 僕に中世紀を思ひ出させるのは厳(いか)めしい赤煉瓦(あかれんぐわ)の監獄である。若し看守(かんしゆ)さ

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 芥川龍之介全集 第四巻
  • 筑摩書房
  • 1971(昭和46)年6月5日