かるいざわで
軽井沢で

冒頭文

黒馬に風景が映(うつ)つてゐる。     × 朝のパンを石竹(せきちく)の花と一しよに食はう。     × この一群(ひとむれ)の天使たちは蓄音機(ちくおんき)のレコオドを翼にしてゐる。     × 町はづれに栗の木が一本。その下にインクがこぼれてゐる。     × 青い山をひつ掻(か)いて見給へ。石鹸(せつけん)が幾つもころげ出すだらう。  

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 芥川龍之介全集 第四巻
  • 筑摩書房
  • 1971(昭和46)年6月5日