たのしい春の日であった。 花ざかりなるその広い原っぱの真中にカアキ色の新しい軍服を着た一人の兵隊が、朱い毛布を敷いて大の字のように寝ていた。 兵隊は花の香にむせび乍ら口笛を吹いた。 何という素晴しい日曜日を兵隊は見つけたものであろう!——兵隊は街へ活動写真を見に行く小遣銭を持っていなかったので、為方(しかた)がなく初めてこの原っぱへ来てみたのだった。 兵隊は