かんりゃくじでん
簡略自伝

冒頭文

明治三十三年(1900)宮城県岩出山(いわでやま)町在(ざい)の中農の家に生まる。当時既にこの層の没落は、全農民階級中最も甚しく、私の家もまたその例にもれず只管(ひたすら)に没落への途を急いでいたのであった。それを知って父は急に足掻(あが)き出し、奪還策として、山林田畑を売り払っていろいろの事業に手をつけ、失敗に失敗を重ね、却(かえ)って加速度を与えるの結果となったのであった。——その間、僅かに七

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 佐左木俊郎選集
  • 英宝社
  • 1984(昭和59)年4月14日