ふしぎなとおめがね
奇妙な遠眼鏡

冒頭文

ある所にアア、サア、リイという三人の兄弟がありました。 その中(うち)で三番目のリイは一番温柔(おとな)しい児でしたが、ちいさい時に眼の病気をして、片っ方の眼がつぶっていましたので、二人の兄さんはメッカチメッカチとイジメてばかりおりました。 リイは外へ遊びに行っても、ほかの子供にやっぱしメッカチメッカチと笑われますので、いつもひとりポッチであそんでいましたが、感心なことに、どん

文字遣い

新字新仮名

初出

「九州日報」1925(大正14)年9月

底本

  • 夢野久作全集1
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 1992(平成4)年5月22日