一 くすれたような鉱山(やま)の長屋が、C川の両側に、細長く、幾すじも這っている。 製煉所の銅煙は、禿げ山の山腹の太(ふと)短かい二本の煙突から低く街に這いおりて、靄のように長屋を襲った。いがらっぽいその煙にあうと、犬もはげしく、くしゃみをした。そこは、雨が降ると、草花も作物も枯れてしまった。雨は落ちて来しなに、空中の有毒瓦斯を溶解して来る。 長屋の背後の二すじの連山には