おおしおへいはちろう
大塩平八郎

冒頭文

一、西町奉行所 天保(てんぱう)八年丁酉(ひのととり)の歳(とし)二月十九日の暁方(あけがた)七つ時(どき)に、大阪西町奉行所(にしまちぶぎやうしよ)の門を敲(たゝ)くものがある。西町奉行所と云ふのは、大阪城の大手(おほて)の方角から、内本町通(うちほんまちどほり)を西へ行つて、本町橋(ほんまちばし)に掛からうとする北側にあつた。此頃はもう四年前から引き続いての飢饉(ききん)で、やれ盗人(ぬ

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 鴎外歴史文学集 第二巻
  • 岩波書店
  • 2000(平成12)年10月10日