(わが陋屋(ろうおく)には、六坪ほどの庭があるのだ。愚妻は、ここに、秩序も無く何やらかやら一ぱい植えたが、一見するに、すべて失敗の様子である。それら恥ずかしき身なりの植物たちが小声で囁(ささや)き、私はそれを速記する。その声が、事実、聞えるのである。必ずしも、仏人ルナアル氏の真似(まね)でも無いのだ。では。) とうもろこしと、トマト。 「こんなに、丈ばかり大きくなって、私は、どんなに恥