えすがた ザ ポートレイト オブ ドリアン グレイ
絵姿 The Portrate of Dorian Gray

冒頭文

1 倫敦(ロンドン)の社交界に隠れもない伊達者ヘンリイ・ウォットン卿はたまたま、数年前にかの興奮から突然姿をくらまして色々と噂の高かった画家ベエシル・ハルワアドを訪れた。そしてその東邦の数奇を凝らした画室の中央に立てかけられて、完成しかけている一青年の肖像画の、比ぶべきものもなく思われて美しい面影に驚嘆した。 『象牙と薔薇の葉とでつくられたアドニス……』とヘンリイ卿は云った。『美は

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • アンドロギュノスの裔
  • 薔薇十字社
  • 1970(昭和45)年9月1日