じゅもくとそのは 27 はるのにさんにち
樹木とその葉 27 春の二三日

冒頭文

くもり日は頭重かるわが癖のけふも出で來て歩む松原 三月××日 千本松原を詠んだなかの一首に斯んな歌があつたが、けふもまたその頭の重い曇り日であつた。朝からどんよりと曇つてゐた。 非常に急ぎの歌の選をやつてゐたが一向に氣が乘らない。五首見て一ぷく、十首見ては一服と煙草ばかり吸つていつの間にか晝近くなつてゐたところへ、近所の服部さんの宅から使が來た。庭の紅梅が過ぎかけたか

文字遣い

旧字旧仮名

初出

底本

  • 若山牧水全集 第七卷
  • 雄鷄社
  • 1958(昭和33)年11月30日