じゅもくとそのは 03 しまさんだい
樹木とその葉 03 島三題

冒頭文

その一 伊豫の今治(いまはる)から尾の道がよひの小さな汽船に乘つて、一時間ほども來たかとおもふ頃、船は岩城島(いはきじま)といふ小さな島に寄つた。港ともいふべき船着場も島相應の小さなものであつたが、それでも帆前船の三艘か五艘、その中に休んでゐた。そして艀(はしけ)から上つた石垣の上にも多少の人だかりがあつた。一寸重い柳行李を持てあましながら、近くの人に、 『M——といふ家はどちらでせう

文字遣い

旧字旧仮名

初出

底本

  • 若山牧水全集 第七卷
  • 雄鷄社
  • 1958(昭和33)年11月30日