じゅもくとそのは 02 わらじのはなしたびのはなし
樹木とその葉 02 草鞋の話旅の話

冒頭文

私は草鞋(わらぢ)を愛する、あの、枯れた藁(わら)で、柔かにまた巧みに、作られた草鞋を。 あの草鞋を程よく兩足に穿(は)きしめて大地の上に立つと、急に五軆の締まるのを感ずる。身軆の重みをしつかりと地の上に感じ、其處から發した筋肉の動きがまた實に快く四肢五軆に傳はつてゆくのを覺ゆる。 呼吸は安らかに、やがて手足は順序よく動き出す。そして自分の身軆のために動かされた四邊(あたり)の

文字遣い

旧字旧仮名

初出

底本

  • 若山牧水全集 第七卷
  • 雄鷄社
  • 1958(昭和33)年11月30日