私は寢上戸(ねじやうご)とかいふ方で、酒に醉ふと直ぐ眠つてしまふ。いまの晩酌が大抵五時半か六時から始つて七時半か八時に及ぶ。飮むだけ飮んでしまへばものゝ三十分と起きてはゐられないで床に潜る。そして午前の二時か三時、遲くも四時には起き上つて書齋に坐る。そのために其處には小さな爐が切つてあり、毎晩火が埋(い)けてある。 此頃は頭の工合も惡いため、讀書らしい讀書もせず、氣を入れてものを書くとか