うちゅうばくげき
宇宙爆撃

冒頭文

一 所長の発表が終ると、文字通り急霰のような拍手がまき起った。 その中でただ一人木曾礼二郎だけが、呆然とした顔つきで、拍手をするでもなく、頬をほころばすでもなく、気抜けのように突立っていた。 「おい、木曾君——」 ぽんと肩を叩かれて、はっと気がつくと、すでに研究所の中庭にあつめられていた所員たちの姿は、ほとんど去りかけていた。勿論、いつの間にか壇上の老所長の姿も消えてし

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 火星の魔術師
  • 国書刊行会
  • 1993(平成5)年7月20日