とうきょうロマンティックれんあいき
東京ロマンティック恋愛記

冒頭文

僕の同棲者の魑魅(ちみ)子は寝台に寝ころんで、華やかにひらいた脣(くちびる)から吐き出すレイマンの匂いで部屋中にエロテイィクな緑色の靄(もや)をつくりながら、僕のいつもの恋愛のテクニックを眺望しているんだ。 かの女の前身は外人相手の娼婦なので、魑魅子には東洋の古典の絵巻にあるような繊細なこころは、あいにく持っていなかったが、女取引所にあらわれる体温によって花咲いた男性の手管(てくだ)を、

文字遣い

新字新仮名

初出

「近代生活」昭和6年4月号

底本

  • 吉行エイスケ作品集
  • 文園社
  • 1997(平成9)年7月10日