じゅんすいしょうせつろん
純粋小説論

冒頭文

もし文芸復興というべきことがあるものなら、純文学にして通俗小説、このこと以外に、文芸復興は絶対に有り得ない、と今も私は思っている。私がこのように書けば、文学について錬達(れんたつ)の人であるなら、もうこの上私の何事の附加なくとも、直ちに通じる筈(はず)の言葉である。しかし、私はこの言葉の誤解を少くするために、少し書いてみようと思う。 今の文壇の中から、真の純粋小説がもし起り得るとするなら

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 昭和文学全集 第5巻
  • 小学館
  • 1986(昭和61)年12月1日