二三年前の事、或る若いエスペランチストが私の処へ遊びに来ました序(ついで)に、瑞西(スイス)とかのエスペラントの雑誌へ「能」の事を投稿したいから、話してくれないかと頼みました。ところが生憎(あいにく)、私は能というものを外国人に紹介する程の頭も学問も持合わせておりません。東京で行われる一流の能さえもあまり見た事がないくらいの貧弱な一ファンに過ぎないのですから、そんな大それた話は出来ないと云ってあや