ようきょくこくびゃくだん
謡曲黒白談

冒頭文

謡曲嫌いの事 世の中には謡曲嫌いと称する人が大層多くて、到る処謡曲の攻撃を為(し)て廻わって、甚だしきに到っては謡曲亡国論なぞを唱える人がある。それ程でなくとも、謡曲が始まるとすぐにお尻をモジモジさせて、やがて妙な用事を思い出して御免を蒙(こうむ)る程度の人に到っては、浜の真砂(まさご)の類限りなく、殆ど十中九人はそうだと云っても差し支えはあるまいと思う。現に自分もこれを幾度となく、しかも深

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 夢野久作全集11
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 1992(平成4)年12月3日