うめづしえんおうでん
梅津只円翁伝

冒頭文

梅津只圓翁の生涯 故梅津只圓(うめづしえん)翁の名前を記憶している人が現在、全国に何人居るであろうか。翁の名はその姻戚故旧の死亡と共に遠からずこの地上から平々凡々と消え失せて行きはしまいか。 只圓翁から能楽の指導を受けた福岡地方の人々の中で、私の記憶に残っている現存者は僅々(きんきん)左の十数氏に過ぎない。(順序不同) 牟田口利彦(旧姓梅津)、野中到、隈本有尚、中江三

文字遣い

新字新仮名

初出

「福岡日日新聞」1934(昭和9)年4月14日~5月31日

底本

  • 夢野久作全集11
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 1992(平成4)年12月3日