たんていしょうせつまんそう
探偵小説漫想

冒頭文

何か書かなければならない。二三枚でいいという。 机に肱(ひじ)を突いて暁の煙を輪に吹いてみる。       ◇ お前が書いているのは探偵小説じゃないという人が居る。腹が立つような立たないような妙な気持になる。 しかし、あやまるのは早計だと思う。うっかりあやまったら書く事がなくなる。折角水面に顔を出したところを又突き沈められる義務はない。 云う奴は自分一人が

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 夢野久作全集11
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 1992(平成4)年12月3日