スランプ
スランプ

冒頭文

——ぷろふいる社御中—— 申訳ありません。このあいだ御下命の原稿、一度、御猶予願っておきながら、まだ書けずにおります。ひどいスランプに陥ってしまったのです。 いささか広告に類しますが、私はスランプに陥った経験がまだ一度もないのです。 九州日報社で編輯と外交の中ブラリンをつとめております時分に、新聞専門家の間に名編輯長として聞こえていた、同時に自由詩社の元老として有名な

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 夢野久作全集11
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 1992(平成4)年12月3日