素晴らしい探偵小説が書きたい。 ピカピカ光る太陽の下を傲華(ごうか)な流線スターがスウーと横切る。その中に色眼鏡をかけて済まし返っているスゴイような丸髷(まるまげ)美人の横顔が、ハッキリと網膜に焼付いたまま遠ざかる。アトからガソリンの臭いと、たまらない屍臭とがゴッチャになってムウとするほど鼻を撲(う)つ。 ……ハテナ……今のは、お化粧をした死骸じゃなかったか知らん……。