私は遠からず路傍の木乃伊(ミイラ)になってしまいそうな気がする。口をポカンと開いた……眼の前の空間を凝視した……。 私は中学を卒業した切り上の学校に行かないが、その中学時代が小説の耽読時代であった。漱石、蘆花、紅葉、馬琴、為永、大近松、世阿弥、デュマ、ポー、ホルムズ、一千一夜物語、イソップなぞ片端(かたはし)から読んだ。二葉亭、涙香(るいこう)、思案外史、鴎外なぞも漁った。 そ