さしえとたたかったはなし
挿絵と闘った話

冒頭文

「犬神博士」は私が何等(なんら)の自信もないままに、突然福日社から頼まれたものです。むろん一度ならず、お断りしかけましたし、福日社も私の危虞(きぐ)を察して「それじゃ止そうか」と云われたものですが、旧知の青柳君がどこかで「挿絵は生れて初めてだが、夢野君のものなら扱ってみたい」と云った事を洩れ聞きましたので、すっかりインフラしてしまって、とうとう無理に福日社へ押しかけて書かしてもらうことになったもの

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 夢野久作全集11
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 1992(平成4)年12月3日