しろくれない
白くれない

冒頭文

[#ここから6字下げ、8字詰め、罫囲み] 残怨白紅花盛 余多人切支丹寺 「ふうん読めんなあ。これあ……まるで暗号じゃないかこれあ」 私は苦笑した。二尺三寸ばかりの刀の中心(なかご)に彫った文字を庭先の夕明りに透かしてみた。 「銘(めい)は別に無いようだがこの文句は銘の代りでもなさそうだ。といって詩でもなし、和歌(うた)でもなし、漢文でもないし万葉仮名でもないようだ。何

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 夢野久作全集10
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 1992(平成4)年10月22日