かじとポチ |
火事とポチ |
冒頭文
ポチの鳴き声でぼくは目がさめた。 ねむたくてたまらなかったから、うるさいなとその鳴き声をおこっているまもなく、真赤(まっか)な火が目に映(うつ)ったので、おどろいて両方の目をしっかり開いて見たら、戸(と)だなの中じゅうが火になっているので、二度おどろいて飛び起きた。そうしたらぼくのそばに寝(ね)ているはずのおばあさまが何か黒い布(きれ)のようなもので、夢中(むちゅう)になって戸だなの火を
文字遣い
新字新仮名
初出
底本
- 一房の葡萄
- 角川文庫、角川書店
- 1952(昭和27)年3月10日、1968(昭和43)年5月10日改版初版