ばくだんたいへいき
爆弾太平記

冒頭文

……ああ……酔うた酔うた。 ……どうだ斎木(さいき)……モ一つ行こう。脊髄癆(カリエス)ぐらい酒を飲めば癒るよ。ちょっとも酔わんじゃないか君は……。 ナニ……恐ろしい暴風雨(しけ)だ?……。 ウン。近来珍らしい二百二十日(か)だよ。夜半(よなか)過ぎたら風速四十米突(メートル)を越すかも知れん。……おまけにここは朝鮮最南端の絶影島(まきのしま)だ。玄海灘と釜山(ふざん

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 夢野久作全集6
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 1992(平成4)年3月24日