ひろつしにこたう
広津氏に答う

冒頭文

私が正月号の改造に発表した「宣言一つ」について、広津和郎氏が時事紙上に意見を発表された。それについて、お答えする。 広津氏は、芸術は超階級的超時代的な要素を持っているもので、よい芸術は、いかなる階級の人にも訴える力を持っている。それゆえ私が芸術家としての立場を、ブルジョア階級に定め、その作品はブルジョアに訴えるために書かれるものだと、宣言したに対して、あまりに窮屈な平面的な申し出であると

文字遣い

新字新仮名

初出

「東京朝日新聞」1922(大正11)年1月19日

底本

  • 惜しみなく愛は奪う
  • 角川文庫、角川書店
  • 1969(昭和44)年1月30日改版初版