我日本の性研究の或者が唯一の虎の巻として居る『性の心理』の著者ハヴェロック・エリスは、性学の大家であり医学者であると同時に、極めて勝れた文人である。此人が近頃著はした『随想録』第二巻(Havelock Ellis, 1921 : Impressions & Comments. 2nd. Series.)の序に、自分も老境に入つて、今迄事に触れ感じた事共を将来系統だつた著述にする事も覚束無いから、取