みちのき |
みちの記 |
冒頭文
明治二十三年八月十七日、上野より一番汽車(きしゃ)に乗りていず。途にて一たび車を換うることありて、横川にて車はてぬ。これより鉄道馬車雇いて、薄氷嶺(うすいとうげ)にかかる。その車は外を青「ペンキ」にて塗りたる木の箱にて、中に乗りし十二人の客は肩(かた)腰(こし)相触れて、膝は犬牙(けんが)のように交錯(こうさく)す。つくりつけの木の腰掛(こしかけ)は、「フランケット」二枚敷きても膚を破らんとす。右
文字遣い
新字新仮名
初出
「東京新報」1890(明治23)年8月~9月
底本
- 日本の名随筆15 旅
- 作品社
- 1983(昭和58)年9月25日