ふたつのみち
二つの道

冒頭文

一 二つの道がある。一つは赤く、一つは青い。すべての人がいろいろの仕方でその上を歩いている。ある者は赤い方をまっしぐらに走っているし、ある者は青い方をおもむろに進んで行くし、またある者は二つの道に両股をかけて欲張った歩き方をしているし、さらにある者は一つの道の分かれ目に立って、凝然として行く手を見守っている。揺籃(ようらん)の前で道は二つに分かれ、それが松葉つなぎのように入れ違って、しまいに墓場

文字遣い

新字新仮名

初出

「白樺」1910(明治43)年5月

底本

  • 惜しみなく愛は奪う
  • 角川文庫、角川書店
  • 1969(昭和44)年1月30日改版初版