そばのあじとくいかたもんだい
蕎麦の味と食い方問題

冒頭文

その昔、武士と通人は「もり」、町人は「かけ」を好み、百姓は「饂飩」と定まっていたという話があります。 蕎麦の味は「もり」にあり、種物食うべからずという位のものとされているなどと通人はいっています。この「もり」の水が切れるか切れないかというちょっとした間は、蕎麦の一番旨いものとされているのであります。水気が多く残っていてもいけないし、またもそもそにのびてしまってはなおさらいけないもので、旨

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 日本の名随筆 別巻19 蕎麦
  • 作品社
  • 1992(平成4)年9月25日