ぼくのぼうしのおはなし
僕の帽子のお話

冒頭文

「僕の帽子はおとうさんが東京から買って来て下さったのです。ねだんは二円八十銭(せん)で、かっこうもいいし、らしゃも上等です。おとうさんが大切にしなければいけないと仰有(おっしゃ)いました。僕もその帽子が好きだから大切にしています。夜は寝る時にも手に持って寝ます」 綴(つづ)り方の時にこういう作文を出したら、先生が皆んなにそれを読んで聞かせて、「寝る時にも手に持って寝ます。寝る時にも手に持って

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 一房の葡萄 他四篇
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1988(昭和63)年12月16日改版第1刷