まずしきひとびとのむれ |
| 貧しき人々の群 |
冒頭文
[#「序にかえて」全体、天より2字下げ] 序にかえて C先生。 先生は、あの「小さき泉」の中の、 「師よ、師よ 何度倒れるまで 起き上らねばなりませんか? 七度までですか?」と云う、弟子の問に対して答えた、師の言葉をお覚えでございますか? 「否! 七を七十乗した程倒れても なお汝は起き上らねばならぬ」と云われて、起き上り得る弟子の尊さを、この頃私は、しみじみ感じております。 第一、先ず倒れ
文字遣い
新字新仮名
初出
「中央公論」1916(大正5)年9月号
底本
- 宮本百合子全集 第一巻
- 新日本出版社
- 1979(昭和54)年4月20日