あおいかお
青い顔

冒頭文

古谷俊男(ふるやとしを)は、椽側(えんがは)に据(す)ゑてある長椅子に長くなツて、兩(りやう)の腕で頭を抱(かゝ)へながら熟(じつ)と瞳(ひとみ)を据(す)ゑて考込むでゐた。體(からだ)のあいた日曜ではあるが、今日のやうに降ツては何(ど)うすることも出來ぬ。好(すき)な讀書にも飽(あ)いて了(しま)ツた。と謂(い)ツて泥濘(ぬかるみ)の中をぶらついても始まらない。で此(か)うして何(な)んといふこ

文字遣い

旧字旧仮名

初出

底本

  • 明治文學全集 72 水野葉舟・中村星湖・三島霜川・上司小劍集
  • 筑摩書房
  • 1969(昭和44)年5月25日