ツェねずみ |
ツェねずみ |
冒頭文
ある古い家の、まっくらな天井裏に、「ツェ」という名まえのねずみがすんでいました。 ある日ツェねずみは、きょろきょろ四方を見まわしながら、床下街道(ゆかしたかいどう)を歩いていますと、向こうからいたちが、何かいいものをたくさんもって、風のように走って参りました。そしてツェねずみを見て、ちょっとたちどまって早口に言いました。 「おい、ツェねずみ。お前んとこの戸棚(とだな)の穴から、金米
文字遣い
新字新仮名
初出
底本
- 童話集 銀河鉄道の夜 他十四編
- 岩波文庫、岩波書店
- 1951(昭和26)年10月25日、1966(昭和41)年7月16日第18刷改版