とりばこせんせいとフウねずみ
鳥箱先生とフウねずみ

冒頭文

あるうちに一つの鳥かごがありました。 鳥かごと云(い)ふよりは、鳥箱といふ方が、よくわかるかもしれません。それは、天井と、底と、三方の壁とが、無暗(むやみ)に厚い板でできてゐて、正面丈(だ)けが、針がねの網でこさへた戸になってゐました。 そして小さなガラスの窓が横の方についてゐました。ある日一疋(ぴき)の子供のひよどりがその中に入れられました。ひよどりは、そんなせまい、くらいと

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 新修宮沢賢治全集 第八巻
  • 筑摩書房
  • 1979(昭和54)年5月15日