ほくしゅしょうぐんとさんにんきょうだいのいしゃ |
北守将軍と三人兄弟の医者 |
冒頭文
一、三人兄弟の医者 むかしラユーといふ首都に、兄弟三人の医者がゐた。いちばん上のリンパーは、普通の人の医者だつた。その弟のリンプーは、馬や羊の医者だつた。いちばん末のリンポーは、草だの木だのの医者だつた。そして兄弟三人は、町のいちばん南にあたる、黄いろな崖(がけ)のとつぱなへ、青い瓦(わはら)の病院を、三つならべて建ててゐて、てんでに白や朱の旗を、風にぱたぱた云(い)はせてゐた。
文字遣い
新字旧仮名
初出
底本
- 新修宮沢賢治全集 第十三巻
- 筑摩書房
- 1980(昭和55)年3月15日