とっこべとらこ
とっこべとら子

冒頭文

おとら狐(ぎつね)のはなしは、どなたもよくご存じでしょう。おとら狐にも、いろいろあったのでしょうか、私の知っているのは、「とっこべ、とら子」というのです。 「とっこべ」というのは名字でしょうか。「とら」というのは名前ですかね。そうすると、名字がさまざまで、名前がみんな「とら」という狐が、あちこちに住んでいたのでしょうか。 さて、むかし、とっこべとら子は大きな川の岸に住んでいて、夜、網打

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 風の又三郎
  • 角川文庫、角川書店
  • 1988(昭和63)年12月10日