マリヴロンとしょうじょ
マリヴロンと少女

冒頭文

城あとのおおばこの実は結び、赤つめ草の花は枯(か)れて焦茶色(こげちゃいろ)になって、畑の粟(あわ)は刈(か)りとられ、畑のすみから一寸(ちょっと)顔を出した野鼠(のねずみ)はびっくりしたように又(また)急いで穴の中へひっこむ。 崖(がけ)やほりには、まばゆい銀のすすきの穂(ほ)が、いちめん風に波立っている。 その城あとのまん中の、小さな四(し)っ角(かく)山の上に、めくらぶど

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 新編 銀河鉄道の夜
  • 新潮文庫、新潮社
  • 1989(平成元)年6月15日