きいろのトマト
黄いろのトマト

冒頭文

博物局十六等官 キュステ誌 私の町の博物館の、大きなガラスの戸棚(とだな)には、剥製(はくせい)ですが、四疋(ひき)の蜂雀(はちすずめ)がいます。 生きてたときはミィミィとなき蝶(ちょう)のように花の蜜(みつ)をたべるあの小さなかあいらしい蜂雀です。わたくしはその四疋の中でいちばん上の枝(えだ)にとまって、羽を両方ひろげかけ、まっ青なそらにいまにもとび立ちそうなのを、

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 新編 銀河鉄道の夜
  • 新潮文庫、新潮社
  • 1989(平成元)年6月15日